遺言とは

遺言とは、被相続人の最終の意思表示のことで、その者の死後に効力を生じさせる制度です。被相続人は遺言を作成しておくことにより、相続財産の承継について被相続人自身の意思を反映させることが可能となりますので、相続人同士で相続トラブルとならないように工夫することができます。そして、遺言は法律で定められた方式で作成されたものでなければなりません。そうでないと、法的効果を生じないからです。法律で定められた遺言の方式としては、自筆証書遺言、公正証書遺言などがあります。

遺言の種類

遺言には、大きく分けて二つの種類の遺言があります。普通方式の遺言と特別方式の遺言です。一般的に行なわれているのは普通方式の遺言ですので、ここでは普通方式の遺言のうち特に用いられている二つの遺言について解説致します。

自筆証書遺言

遺言者が遺言の全文、日付および氏名を自書し、押印して作成する方式です。

公正証書遺言

遺言者が遺言内容を公証人に口述し、公証人がこれを筆記して公正証書により遺言書を作成する方式です。

遺言方式ごとのメリット・デメリット

遺言にはその種類ごとにメリットとデメリットがあります。遺言を作成するには、そのメリットとデメリットを十分に理解して、自分に合った方式を選択する必要があります。

自筆証書遺言

メリット

  • 1費用がかかりません。
  • 2自分一人で容易に作成できます。
  • 3遺言を作成したこととその内容を秘密にしておくことができます。

デメリット

  • 1要件が厳格なため、一つの方式不備で無効となるおそれがあります。
  • 2その秘密性から遺言者の死亡後遺言書が発見されないおそれがあります。
  • 3遺言書の内容に法律的な疑義が発生するおそれがあります。
  • 4家庭裁判所で検認手続きが必要となります。
  • 5視覚障害者にとっては利用しづらいと考えられます。

公正証書遺言

メリット

  • 1方式・内容の不備による無効を回避できます。
  • 2公証役場で保存されるため、紛失・改ざんのおそれがありません。
  • 3家庭裁判所での検認手続きが不要です。
  • 4自署できない方でも利用できます。

デメリット

  • 1公証人手数料等費用がかかります。
  • 2遺言の内容を公証人と証人に知られてしまうため、その存在と内容の秘密を確保できません。

自筆証書遺言の書式例

遺言書における付言事項

付言事項とは、家族へのメッセージや葬儀に関する希望などを記載したものです。法的拘束力こそありませんが、円満な相続のために有意な記載として、昨今、遺言書の作成において「付言事項」は重要視されています。

マンガで知る遺言